転生令嬢は小食王子のお食事係
 私はエマにバトンタッチする。目を開けられないとたまねぎも切れない。
 手を洗い、エプロンで目元を拭う。切るのをやめてもまだしみている気がする。
 交代したエマはテキパキと切っていく。
 私と同じ二玉を切り終えてもしみる様子もなくけろっとしていた。
 たまねぎのしみる成分の効き目には個人差があるらしいが、エマは効かないタイプなのかもしれない。とてもうらやましい。
 たまねぎのスライスが山ほどできたところで、いよいよ炒めていく。
 こんなにあるたまねぎも、じっくり火を通すとかさが減ってしまうんだよね。
 鍋にスライスしたたまねぎをいれ、はじめは強火で水分を飛ばすように炒める。焦げ付かないように木べらで炒めるのだが、これがなかなか大変だ。
「アイリーン様、代わりますよ!」
 動きが鈍くなってきた私を見かねて、再びエマが交代してくれる。
 たまねぎが少ししんなりしてきたところで、火加減が弱いところに鍋を移動させ、ここからはとにかく炒め続ける。
「アイリーン様、これっていつまで炒めるんですか?」
「飴色になるまでですよ」
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