転生令嬢は小食王子のお食事係
午後は離れから本館に移動し、今日作りたかったお菓子を思いっきり作る。
やっぱり焼き菓子の王道といえばなんと言ってもクッキーだ。
バターの香りをさくっとした食感がたまらない焼き菓子を代表するお菓子である。
乾燥した庫内で焼き上げる必要があるため、薪釜とは相性ぴったりだ。
なので今日も本館の薪釜を使おうと思っている。
「さて、エマは薪釜の準備をお願いします」
「はい! コンロは使いますか?」
「今日は薪釜だけで大丈夫」
「了解しました」
エマは何度か目の薪釜の準備をいうこともあって、テキパキと作業を開始する。
薪釜の取り出し口の鋳物の蓋を開けると、薪を入れて釜の中で組む。そこに着火用のおがくずを入れたら、火打ち金を使って着火する。
言葉にすると簡単だが、火打ち金を使って火をつけるのは容易なことではない。
正直私には無理だ……。
火打ち金を打ちつけると小さな火種がおきる。それをうまくおがくずの上に落とし、引火させていくのだ。