転生令嬢は小食王子のお食事係
 結果的に私が王妃宮の厨房に出入りしていることはお咎めなしだった。
「アイリーン様、良かったですねー!」
 私からの報告を聞いてエマが喜んでくれる。
「本当、王妃様がいらっしゃったとき時はどうなることかと思いました……」
 厨房に出入りしていることが原因で女官をクビになったらどうしようかとドキドキだった。
 今思えば、厨房に出入りするというのは何か企んでいると思われても仕方がない。
 何しろここで作った料理が王妃宮にいる人の口に入るのだ。毒や薬を入れようとしていると思われなくもない。
 もちろん王妃様や女官が食べる前には毒味がされるが、疑いはかかる。
 宮中は何かしらの陰謀が常に渦巻く場所。
 たとえ私が何かしなくても、もし何かあった場合にいらぬ 疑いをかけられる、ということだってありえるのだ。
< 45 / 215 >

この作品をシェア

pagetop