転生令嬢は小食王子のお食事係
 今回は作ったお菓子を気に入ってもらえて、そんなことを考えていないと証明は出来た。でも、私も少し学んだ。
 令嬢としての外聞だけではなく、王妃様の許可無く厨房を使っていた危険性を身に染みて感じた。
 だから……。
「しばらくこちらの厨房に来るのは控えることにします」
「ええー!」
 私の言葉にエマは驚きを露わにした。
 驚いたのはどうやらエマだけではなかったらしい。料理長も目を見張ってこちらに寄ってくる。
「そこまで気にすることはないんじゃないのか?」
「いえ、実家ならともかくここは王妃宮ですし……。これまで自由にさせて頂いたのが例外だったんですよ」
「まあ、わざわざ厨房にくるお嬢様はアイリーン様以外いませんしね」
「こら、エマ!」
「はっ! 失礼しました!」
 思わず溢れたエマの言葉を料理長が注意する。
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