転生令嬢は小食王子のお食事係
「あの、王妃様……」
 どうにか断る方向で話を切り出そうとすると、王妃様は「もちろん」と話を続ける。
「なんの対価もなく王妃宮に行ってもらおうとは思っておりません」
 王妃様の言葉に、私は返事を一度飲み込む。
「期間は三ヶ月。この間は私でできるサポートはいたします。その上で、問題解決にあたってください。期間が終わりましたらこれまで通りこの王妃宮での女官として戻ってもらいます。さらに――」
 一度、言葉を切った王妃様は、私と目をしっかり合わせる。
「あなたの結婚相手は私が良い条件の殿方を責任もって見つけます。そして、王妃宮の厨房を自由に使える許可を与えましょう。アイリーン、いかがですか?」
 いい条件の結婚相手に厨房を使える許可……!
「――やります!」
 今私が望んでいることを提示され、私は目前ににんじんをぶら下げられた馬のごとく食いついた。
 勢いで返事をしてから、私はハッと我に返った。
 ついさっきまでどうにか断ろうと考えていたのに、即答してしまった! 答えてしまってから、大丈夫なのかと不安がこみ上げる。
 しかし、王妃様は「良かったですわ」と嬉しそうな顔をしている。
 今更、やっぱりやめますなんて言える雰囲気ではない。
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