寂しがり屋の月兎
望は制服に着替えてグラウンドに向かっていた。

夕日の残り火が空の端を染めている。

薄暗い中で歩いていると、光るものを見つけた。

ものというか人だった。

兎田は望を見つけるとまっすぐに歩いてきて、「おいで」と言って手を握った。

望はぎょっとしたが、いやだと言える雰囲気でもなく大人しくついていく。

やってきたのは屋上前の、いつものスペースだった。
< 189 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop