寂しがり屋の月兎
「こっち、来てください」

弱々しい声でそう言って、少女は有明の手を引く。

嫌だと言えば、それで彼女は去ったかもしれない。

けれど有明はそんな気にはならず、毒気を抜かれたように、彼女に引かれていったのだった。

連れてこられたのは保健室で、椅子に座らさられる。

「先生、いませんね……。すみません、痕になったらだめなので、私がしますね」

お伺いをたてるようにそう言われたので、小さく頷く。

ほっとした表情を見せて、彼女は手早く準備を始めた。

「……痕……」

うっすら呟くと、彼女が答える。

「頬、爪で傷ついています」
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