寂しがり屋の月兎
有明は、なんだか高揚してきていた。

彼女は加害者、有明は被害者。

圧倒的強者の位置だ。

なにを言っても……許される。

「あんたさ」

微笑んだまま──暴言を吐こうとした。

しかし言葉が出てくる前に、目の前の景色が変わった。

青ざめる女から、少し怯えた顔の、ふわふわした髪の少女へ。

「……? な──」

言いかけた有明の頬に手を伸ばし、患部には直接触れず、傷口をよく見た。

いきなり現れた彼女のそんな行動に驚いて、有明は身動きができなかった。
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