寂しがり屋の月兎
有明が修羅場に巻き込まれたことは、今まで一度や二度ではない。

野次馬も大勢いた。翌日には噂が流れた。

だから、こんな反応をされたのは初めてだった。

新鮮で、思わず彼女を凝視する。

彼女は居心地悪そうで、微妙に目が潤んでいた。

「……名前は?」

「えっ?」

「あなたの」

「あっ、玉川です。玉川、望……」

「クラスは?」

訊ねると、彼女は気まずそうに目を逸らした。

「……二組です」

「…………。ごめん」
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