寂しがり屋の月兎
微笑みを撒き散らして答えたのは兎田だった。

「望ちゃんと一緒にお昼ごはん食べたくて」

「…………」

反応の仕方が分からず望は絶句した。

向かいでは、すでに弁当をつついている三日月が呆れた顔をしている。

「ごめんな、こいつアホで。いい迷惑だったろ?」

「いや、迷惑などでは……」

兎田は、自分をアホ呼ばわりした男に軽く眉を上げてみせた。

「余計なこと言うなら、三日月は一緒じゃなくていいんだぞ」

「このレジャーシート用意したの誰だと思ってるんだ」

聞けば、ろくに掃除もされない場所で、ホコリが溜まっているゆえ用意したらしい。

ここを提案したのは三日月だという。

教室で食べるとなると、注目を集めずにはいられないだろうからだそうだ。

兎田の美貌を鑑みた、いい判断である。
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