キミの運命の人は俺じゃない
「葵を仕事終わったら行かせようか?
それ、今晩かなり痛むぞ。熱もでるな」

「えっ?ほんと!?たすか……」

私の言葉を佐久間先生が遮った。

「いい。
来なくていい。俺の家に泊める」

「「えっ!?」」

虎太朗と私の言葉が重なった。

「異論はきかない。
主治医の言うことを聞け。
、、、それと、今の時間外労働と面倒見る分の報酬は治ったら請求する、いいな?」

なんで怒ってるの?
一方的にまくし立てられ困って虎太朗に助けを求めて目をむけると虎太朗は愉快そうに笑っていた。

「はいはい。
主治医様の言うことは絶対みたいだからちゃんと言うこときけよ?
亜沙美、治ったら高額請求くるから覚悟しとけ」

「えっ、、、いや、あの、あたし葵が、、、」
「じゃあ頼んだぞ湊。
亜沙美、お大事に」

「えっ、ちょっと待ってよ、虎太朗、、、」

あぁ、恵ちゃん、私どうしたらいいの?
恋愛偏差値ゼロな私には、もはやこの状況は理解不能で口をへの字にして泣きそうな顔をしてただただ途方にくれていた。

< 28 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop