拝啓 元カレ上司サマ

実際には、麗香と宗也は授かり婚(出来ちゃった婚)ではない。

披露宴の招待客の誰かが、真しやかに流した噂話に過ぎないのだが、煌太にとっては、何もこんな時にという場面でもたらされた嘘情報だとしても、彼の心臓の奥の奥まで抉るのには充分であった。

そして、あのキラキラしていた楽しかった日々が、あたかも砂の城が崩れて消えていくような、そんな錯覚を覚えた。







< 221 / 496 >

この作品をシェア

pagetop