拝啓 元カレ上司サマ

暗雲垂れ込める


途中かつてよく麗香と通ったセレクトショップに立ち寄って何着か服を購入し、昔話に花を咲かせ過ぎて、定食屋に着いたのは7時を過ぎていた。

懐かしい暖簾を潜ると、いらっしゃいと元気の良い声がする。

どうやら店の大将は、煌太のことを覚えていてくれたようだ。

「あの美人の彼女さんは元気かい?」

苦笑いをすると、大将もそうかいそうかいと、ニッと笑った。

この店にも、よく麗香と一緒に通っていた。

麗香はこんな定食屋にだって、楽しそうに付いて来てくれたなと、何年か前の情景を思い浮かべてフッと笑む。

「そう言えばここの秋刀魚定食、アイツ好きだったよな…」

今では奥様としてあの御曹司に秋刀魚なんて焼いてんのかなと、妬いているのか何なのか、そのやりきれない複雑な思いを払拭するように、ばくばくと秋刀魚を食べる煌太なのであった。









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