拝啓 元カレ上司サマ
何気なく横断歩道を渡る人々を見ていると、見覚えのある顔に目が行く。
優希だ。
彼女が、もう一人と二言三言言葉を交わしているのが分かった。
「女子大の友達と会うんじゃなかったのか?」
優希が仲良く並んで歩いているのは男性で、煌太は不思議に思いはしたが、取り敢えず一緒に帰るのも良いかと交差点の先でハザードをたいて停車し、彼女達がやって来るのを待つ。
その間バックミラーで、何の気なしに二人の様子を観察してみるが、その雰囲気はまるで恋人同士のそれ。
恋人繋ぎした手は離れることはなく、相手の男性は優希を抱き寄せて、彼女の頭に口付けしていたのだ。