拝啓 元カレ上司サマ

それでも、女として見てもらえないなんて、情けないやら悲しいやら、複雑な想いでいっぱいになった優希の心は決壊寸前だったのだ。

そんなある日、取引先で足を挫いた時に助けてくれた男性、今では夫である煌太よりも愛しく思っている彼のことで頭がいっぱいだと気が付いて、優希は顔を歪める。

あれだけ愛したかけがえのない存在であった煌太のことを、今では面倒に感じているなんて、一気に不快な感覚が押し寄せてきて、やはり自分は間違ったことをしているのだとすら思う。

けれども、優希の心の均衡を保つために、優司の存在に感謝こそすれ、疎ましくなど一切感じていないことに気が付いている。



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