拝啓 元カレ上司サマ
煌太の気持ちが自分に向いていないことは、随分前に義姉の話から分かっていた。
どれだけ夫に愛情を注いだって、どれだけ尽くしても、殻に閉じ籠る煌太が優希を見てくれることはなかった。
例え同じ部屋で過ごしたとしても、一緒に食事をしていたって、煌太が優希を妻としてではなくてまるで同居人のような感覚でいるような扱いに、長らく苛まれてきたのだ。
記憶喪失は煌太のせいではないのは、重々承知だった。
何とか夫を支えていこうと考えていたのは、嘘ではない。