拝啓 元カレ上司サマ

会社へ戻ると直ぐに部長に呼ばれ、煌太の怪我の状態や、負傷した時の状況などを尋ねられる。

程なくして、部長から解放された麗香が受付に戻ったのは、もう直ぐ定時になる頃であった。

そしてロッカールームへ行くと、総務部だけでなく経理部や法務部などの、所謂“岡谷課長ファン”達の面々が、今か今かと手ぐすねを引いて待っていたのだった。

「課長は大丈夫だったの?」

「どうして怪我をしたの?」

「どうして一緒だったの?」

などの予想通りの質問に短く答えて、涙を隠すようにロッカールームを出て行く。

「麗香、大丈夫かしら…」

心配顔で沙穂が呟いた。



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