拝啓 元カレ上司サマ
沙穂は、飲めない酒を一杯、二杯と麗香のために注文し、酔わずにはいられない彼女の愚痴のひとつでも聞いてやろうと考えていた。
普段は弱音を吐かない麗香だけれど、今夜は飲めるだけ飲んで、テーブルに突っ伏してしくしく泣き出した。
「煌太が他の女性(ヒト)のものになるなんて、諦めたつもりだったのに、全然出来てなかったみたい…もう、会社辞めたい」
本当に馬鹿な子と、麗香を抱き締めて、二人で静かに涙を流していた。