拝啓 元カレ上司サマ

本当に急ぎだったのだろう。

急募とあった事務所への、麗香の転勤が決まった。

まあ、転属希望の理由欄に、家族の看病などという嘘を書いたことが、もしかしたら効を奏したのかも知れないが…。

麗香は家族のみんなにごめんなさいと、心の中で謝っておく。

どうしても、ここから離れなくてはならないから。

もう、あの二人の幸せな姿を見なくていいんだと考えると、ホッとしたのか、涙が零れた。
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