今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


泉くんが言っていた響平の忘れられない女の子というのは、他でもない美月ちゃんだった。



「瑠花、行くな」

この期に及んで、どうしてそんなことを言うのか。

足を速める。


「おい瑠花!」

すぐ後ろで叫ぶ声に、耳を塞ぎたくなった。



突き放し方がわからない。

先に突き放された気もちになったのは私のほう。


しまいには、美月ちゃんがこの街にやたらと行きたがっていたのは、響平を探すためだったんじゃないか……なんて、そんな嫌な考えまで浮かんでくる。



「なんでそいつと帰んだよ。お前、俺が初めてじゃなかったのか」


……初めてだよ。

だから傷ついてるの。

逃げたいの。



「響平と、一緒にいたくない……」


そのセリフを最後にお店を出た。

追いかけてくる気配はない。
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