秘密にしないスキャンダル
「……と言う風に言われたの」

「心の嫁か……上手いこと言うよね」

家に帰ってご飯もお風呂も終わって後は寝るだけとなったとき、ベッドに横になって隣にいる隆矢に今日のライブでのことや握手会で言われたことを話したら隆矢は小さく笑っていた。

「隆君が私達のファンでいてくれた時も、私は心の中でお嫁さんだった?」

「……勇菜、恥ずかしいからそう言うこと聞くの止めて」

しかもベッドの上で……。と小さく呟いた声は勇菜には聞こえなかった。
勇菜は好奇心で隆矢から回答を得ようとじっと見ていると、最初はたじろいでいた隆矢はついには溜め息をついてそっと勇菜を抱き締めた。

「俺は今でもShineの……勇菜のファンだから、昔も今もずっと勇菜は心の中でお嫁さんだよ」

「う……わぁ……。
どうしよう、ファンの人に言われた時より恥ずかしい……」

言いながら赤く染まった顔を見られないように隆矢の胸に顔を押し付けると、さらに隆矢の抱き締める力が強まった。

「言わされた俺の方がもっと恥ずかしいんだけど……」

「うん、でも恥ずかしいんだけど……それを上回るくらいすごく嬉しい」

くぐもった声でそう言うと、隆矢が息を呑んだ気配がした。

「……勇菜、煽らないで。
寝かしたくなくなるから」

熱がこもった眼差しを向けられて、勇菜はドキドキと高鳴る鼓動を感じながらそっと隆矢の頬にキスをした。
目を丸くした隆矢に勇菜は視線を反らしてほんの少し悩みながら小さく口を開いた。

「煽ってはない、んだけど……寝かしてはほしいから手加減はしてほしいかな?」

「っ……それが煽ってるって言うんだよ」

その言葉を最後に隆矢が勇菜に口付けると勇菜はそっと目を閉じた。
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