Spring -盗撮-
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神田警察署へ連行した後、
俺も取調室に同席した。
隣に座る鉄警の小川さんは、
この状況になっても“信じられない”という表情を浮かべている。
「どうして・・・君が・・・?」
「・・・・・・・・。」
今朝、その場を現行犯で取り押さえ、
ここまで引っ張ってきた花木リカは自分の髪の毛をクルクルと触り、
心ここにあらずといった雰囲気で、
視線は斜め上を見上げていた。
「・・・・あのTバックは君じゃ無かったのか・・?」
硬派な男も、取り調べとなればスラスラと口に出せるらしい。
「凄かったでしょ?アタシの会心の作品。自作自演するならあの子って決めてたんだ。」
「どうしてこんな事をした!?」
「小川さん。落ち着いて。」
相手が興奮していれば自分自身は不思議なほど冷静になれる。
人間の感情は不思議なもんだ。