Love Eater
まだ六花との関係が拗れる前にソルト本人が言っていたのだ。
記憶を頼りに六花の部屋へと行ってみたのだが辿り着けないと。
確かにその付近までは行くことが出来るのに、肝心な住処のある場所が見つからないで徘徊して終わる。
自分の特性の嗅覚を持ってしても迷走して終わってしまう事も。
そこは六花自身の呪いがかかっているのだろうと考えるまでもなかった。
六花本人が許可しなければその場所には永遠に辿り着けないのだろうという事も。
それをソルトもすでに十分に理解している筈であるのに。
こうなった今それにしか縋れるものがなく、今日もまた恋しい姿を求めて徘徊してしまうのだろう。
「確かに…亡霊だねえ」
「ん~?リッカのこと?」
「恋しい姿を探して廃ビルだらけの裏路地を徘徊してるとかその辺の幽霊よりよっぽど亡霊だと思ってね」
「クックッ、リッカが亡霊なら彼女はなんて称したもんか」
「ん?あの魔女子ちゃんの事かい?」
「亡霊なんてまだ人間の執念とか執着あっての可愛げのあるものだ。それで言ったらあの魔女子ちゃんの絶望は何にもない」
「何にも?」
「それこそ、パッと一瞬で全てが飛んで消えたみたいにね。自分の存在価値そのもの全て」
蓮華の脳裏に浮かぶのはあのソルトと六花の決別の瞬間。
ソルトの記憶には六花の後ろ姿ばかりが鮮明であったであろうが、蓮華だけは六花の変貌を目の当たりにしていたのだ。