Love Eater
目の前でそんな変貌を捉えて蓮華なりに六花という生き物を理解したのだ。
「あの魔女子ちゃんはね、リッカって電池があって初めて人間らしくな起動するお人形なんだよ、多分ね」
「面白い解釈だねえ。電池式の人形?」
「そっ。だから、電池が抜かれてしまえば途端に無機質な状態に逆戻り。なんでリッカが動力なのかは知らないけど」
「つまりは、あの瞬間に魔女子ちゃんは魔女子ちゃんとして生きる糧を失ったと?」
「そっちこそ面白い言い回しするじゃない。まあ、そんなとこ。泣くでも喚くでもなく、悲観なんて見せる事もなく一瞬だ。一瞬で人である事も魔女である事も辞めたような姿には俺でもゾッとしちゃった」
「フッ、君が【ゾッ】と?」
「フフッ、うん。……ゾッとするくらい綺麗だって、欲しくなっちゃったよね」
欲しいという言葉のままに、いつもやる気のない蓮華の双眸には今はギラついた欲求が揺れていて。
あの瞬間の六花を思い出しているのか、まるで美味しそうだと言わんばかりに唇まで舐めて恍惚とするのだ。
「よりによって…人形みたいな方の姿に?」
「俺は自分に執着されるのは苦手でね。嫌ってくれてる位が丁度いいし、無感情だなんてそれこそ理想的ってね」
「相変わらず屈折してる性癖だよねえ君も」
「ファンシーな俺は人形遊びが大好きなもんで」
ファンシーだとかよく言ったものだ。
そんな可愛らしい響きで括れる性癖でない事は自他共に認めるものなのに。
まあ、白夜ともなれば蓮華のそれに今更引くでも怯むでもなく、相変わらずだとツラリと笑う程度で終わってしまう。
ソルトであったならあからさまに嫌悪を貼り付け非難の一つでも零していただろうが。