Love Eater
そんな風にシレッと煙管蒸かす百夜の姿には、蓮華もまたソルトの反応の方が弄りがいがあると物足りなさを覚えるのだ。
いつだってそうだ。
何にでも興味を持つように話に入り込む割に、何ににも興味が無いとばかりにさらりと受け流す。
百夜の方こそその真意を見せぬ男だと蓮華は常々思っている。
今回の事だってそう、
「百夜さまの方こそ罪悪感ってものはないんっすか?」
「……フフッ、僕が?」
「今回の事、俺の介入を後押ししたのは百夜さまでしょ?結果こんな事になってリッカに申し訳なかったとか思ったりしないのかなぁって」
蓮華の悪質さを知っている百夜だ。
こうなる事は分かっていただろうに。と蓮華自身が思うのだ。
それを百夜が想定できなかった筈がないだろうと、含みを持たせて問いかければ、返されるのは妖しげな失笑と甘い香りと。
「まったく」
そんな結論と。
「それこそ言えるのは、これで終わる関係ならそこまでってとこかな」
「酷い人だねえ」
「まあ、そこで終わらせられないだろう六花君だから面白いんだけど」
「つまり、百夜サマの想定内ってことなんですかね?俺の介入であの二人の関係が拗れるって今は」
「君が悪戯を仕掛けない善意をする筈が無いからね。すべてにおいて真面目過ぎる六花君には良い気つけ薬になると思ってね」
「気つけ薬?」
「手負いの獣程余計な理性が削ぎ落とされて己が欲が浮き彫りになるものだ。何もかも平和に守ろうなんて馬鹿真面目な六花君には君は実に良い刺激なんじゃないかと思っただけだよ」
ソルトは真面目ゆえに守ろうとする物が多すぎる。
それが百夜が常々ソルトに思っていた事なのだ。