Love Eater



六花も大切だが上からの命令も絶対。

魔混じりの秘密は保守したいが六花との関係も深めたい。

それはソルトの良い所であり、でも見方によっては内気で保守的すぎる悪い所であり。

全てを良いとこ取りでバランスをとるなんて無理がある。

不変を望むのであればそれでも良いが、尽きぬ欲を持つのが人間という物。

人間として普通に生きるという事は不変であるのが当たり前の事なのだ。

欲するものによっては今ある何かを諦め手放さなければいけない事もある。

恋愛なんてものは特に。

今までのソルトの保守的な姿勢では遅かれ早かれ今と同じ瞬間が訪れていた筈だろうと思うのだ。

それをいくら助言しようがソルトの事だ、ああだこうだと言い訳をつけて煮え切らない姿は想像がつく。

だったらいっそその痛みと己の甘さを認識させてしまえば優柔不断な頭も一つの答えを選ぶだろう。

このまま諦め終わるも答えの一つであるし、欲に突き動かされた別の顔を見せるも答えの一つ。

どちらかと言えば後者への変貌を期待して百夜なのだが。

「あんたって、本当にわかんねえのな」

「フフッ、そうかい?」

「それこそどこまでが善意とやらの言動行動なんだか。ただの気まぐれにも見えるし、切に導こうとも感じられるし」

どっちがより百夜の本質に近いのか。

それを探るように紫の双眸を見つめ抜いてみても、妖しく笑う姿は感情の変化など微塵も映さない。


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