Love Eater
このガキ本当に人間なのか?
いや、魔女か。
いや、魔女にしたってこんなキチガイで常識はずれな生い立ちがありえるものか?
両親が分からないってのは理解出来るとしても、生まれてから何も食った記憶がないとか。
じゃあ、どうやって今まで生きてきたんだよ!?
と、ソルトの脳内はエクスクラメーションマークで満たされてキャパオーバー寸前であるのだ。
そんなソルトの混乱は六花の目から見ても明確で、かといって自分を異常だと捉える姿に落胆するような感情も持ち合わせていない。
寧ろ、ようやくソルトの反応に理解が出来ると反応したのだ。
「それが正解だよ、人間」
「……はっ?」
「理解出来ないものを無理に理解する必要はないんだ」
「っ……」
「出来もしなければする必要もない。僕はたまたまお前の人生の道なりにあった雑草みたいなもの。それにいちいち足を止め何故枯れる為に咲くのかなんて問いかける方が可笑しな事なんだ」
「……」
「わかったらお前はお前のすべき事だけすれば良い。僕に何か用があるなら好きにして。どこに連れていかれて何をされても僕は僕だ。静かに死を待って生を消化するよ」
見た目こそ子供だが六花を満たす意識は成熟しているらしい。
淡々と弾かれる結論の数々は妙な説得力があり、混乱していたソルトの頭をみるみると冷ますほど。