Love Eater
「女の子が私物を預けるとかマーキングの鉄板じゃない。『私の物!』なんて他者への牽制ビンビンだし。自分の匂いを相手の部屋に染みつかせたいとか可愛い縄張り証明だからね」
「マーキング…、縄張り…」
「まあ、恐ろしいのはそこに魔女らしい独占欲まで仕掛けてある事かな」
「はっ?」
「リッくんのその過度な興奮と発情はね、魔女の匂いと魔の因縁ってものだけじゃなくて、さらに混じった媚薬のせいだと思うよ」
「っ…媚薬ぅっ!?はっ?そんなもん混じってるのか!?この匂いに!?」
「まあ、多分ね。どこまでもリッくん狙いのそれだから僕にはなんの効果ももたらさない只の甘い魔女の匂いに過ぎないけど」
「マジか…」
「さしずめ、「私をもっと見て、触って、反応して」って言う可愛い悪戯と愛情表現かな。だから、他の女の子じゃ発散出来ないようになってるし、「他の女に手を出して!」ってお怒りのしっぺ返しで欲求不満が倍増するようになってるし」
「っ…かっわいくねぇわっ!!どんな拷問な呪い仕掛けてくれとんのじゃあのクソガキぃぃぃ!!こちとら只でさえその匂いで本能と自制の戦いだってのに!!」
ふざけんな!とソルトが熱り立つのも当然。
可愛さ余って憎さ百倍とはまさに。
何だかんだ言っても六花は自分の意中の相手だ。
そんな相手から自分に対する恋心やそれによる独占欲を剥き出しにされる事は悪い気もしないし可愛いという感覚も否めない。
ただ、それが自分の身を蝕むような呪いと化すなら呑気に可愛いなんて笑える筈もない。