Love Eater
それでも、何にせよ解決の目途は六花にのみあることは分かった。
込み上げた苛立ちをそちらにシフトチェンジしてしまえば次なる行動への切り替えは早い。
体力温存とばかりに投げ出していた体をようやく起こすと気合を入れ直すように一息。
そのままギシリと揺らしながらベッドを降り、颯爽と部屋を横切るソルトの姿を百夜は視線だけで追いながら、
「どこ行くの?」
「決まってんだろう」
「冷静とは言えない今の君に外出はお勧めしないなぁ」
「俺は冷静だよ」
男としては心ばかりの小さな親切としての忠告であったのだが、ソルトから返されるのはきっぱりとした拒絶の言葉。
男の方も聞く耳を持たぬ者にわざわざ口酸っぱく忠告を続けるつもりはなく、ただ憐れんだように目を細めながらクスリと笑って紫煙を揺らすのだ。
それでも、
「健闘を祈るよ、六花りっかくん」
ソルトの背中に緩やかに投げられた見送りの言葉と本名。
それに視線だけで受け答えすると火照る体を突き動かして夜の街へと駆け出したのだ。