Love Eater
やっちまった……。
とうとうやっちまった……。
とうとう、さよなら人類に到達しちまったよおい。
こんにちは獣な俺。
いや、今までもある意味獣みたいな俺だったけどもさ…。
そんな絶望と嘆きの堂々巡り。
ソルトからすれば、ずっとあがいて踏みとどまっていた最後の一線。
それをとうとう滾る興奮に負けて、抑制虚しく更に人の常識から踏み外れてしまった絶望的瞬間。
今までも犬歯が伸びたり、嗅覚が異様に鋭くなる程度の変化はあった。
でも、大抵は百夜が精製した薬によって興奮も抑え込め変化も元に戻す事が出来たのだ。
薬を盛られたとはいえこんな風に抑制ままならずに変化してしまうなんて。
そんな風に自分の不甲斐なさに、情けないと空を仰いで息を吐いたタイミングだ。
百夜の忠告の意味を理解したのは。
そうか…そうだった!
今日は満月の夜だったな!
満月の夜は特に興奮しやすいから極力外出は避けていたし、仕事で仕方のない場合は薬を多めに服用していたのに!!
普段であるなら避けられぬ月の動きには細心の注意を置いて過ごしていたのだ。
それをすっかり忘れていた自分は確かに冷静でなかったと言える。