稲荷と神の縁結び
そうして私達は足早に店を追い出されてしまった。
呆然として何をしていいかわからない私に対して、清貴さんは腕を捲り上げて時計をチラチラ見ている。

「歩いた方が早いから行くぞ」
そう言い放ったかと思うと、私の腕を掴んで歩いていく。


「あの……清貴さん……?」

「何?」

「支払いは………?」

おそらくこの一式は……月の給料の半分は飛ぶ値段である………。


「まぁ母親が何とかしてるだろ」

いやそれはまずいですと顔面蒼白になる私。


「今日のギャラ分だ。頼んだ」

「いや………って!そもそも何ですか?!
この羞恥プレイは?!」

思わず清貴さんは吹き出している。
いや、こんな部屋着でハイブランドのショップに連れていかれるのを……羞恥プレイと言わずに何と言うのか。


「いいか。今から俺に話を合わせてくれ」

「いやだから今から何を…」

「あの紬のクソババアが縁談を持ってきやがった」

「あぁ……まだ諦めてなかったんですね……?」


さすがに二年間断り続けていれば諦めてそうだが…まだ紬おばさまは諦めていないらしい。
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