稲荷と神の縁結び

「彼女の家は、代々続く神社の家系だそうで。現在そのお兄さんも神主として神社を守っておられるんですよ。ね？」

「あ、はい。我が家は五百二十年前から続く神社でして、現在父と兄が神主として奉仕させていただいております 」

「五百年前……」

「はい、創建が戦国時代に遡ります。父が四十三代目の宮司で、兄が将来的に四十四代目として後を継ぐ予定です」

「なので家柄としては申し分ないでしょう。なんせ歴史の深い神社のお嬢様ですから。
昔は彼女も大祭などで巫女舞いを奉納しておりますし」

（なぜ知っているんだ……）
「別に今も希望があれば行いますが……なんせ二十代半ばになると、回りの目が厳しくなる世界ですので、もう私も引退のような感じになっております。今は指揮者として地域の子供に教えたりすることもありますが」

「それにお母様は日本舞踊とお茶を教えていらっしゃるそうで。特に昔から厳しく日本舞踊を習っておられたと、ね？」