稲荷と神の縁結び
住み始めた時から庭が荒れていたが、どうしようもなく放置していたこと。
家の中はかろうじて家政婦を雇ってはいたが、トラブルにより解雇したこと。

「ならもう一回、家政婦雇えば?」と圭ちゃん。
しかし「嫌だ」とばっさり斬る社長。

「何で?」

「………もうあんな目にはあいたくない」

「………どんな目なんですか?」

そう聞くと「トラブルばかり起こしやがる」と。


「一人目は五十代の女性。普通のおばさんだと思ってたけど、うちから古伊万里の湯飲みと茶壺をすくねて売り飛ばそうとしていた。運良く持ち込んだのが知り合いの古物商のところだったから寸前で回避できたものの当然クビ。
二人目は四十代の女性。この人も最初は普通だったが、ある日家に帰ると裸で迫られたから警察呼んで連れてってもらった。シングルマザーで俺と結婚するとまぁ馬鹿げたことを言ってたらしいが…」

「………つまり、トラブルばっかだと」

「そうだ」
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