稲荷と神の縁結び
ピーコートにジーンズ姿という年相応の姿をしているが…やっぱり若く見えるなぁと思う。
せいぜい圭ちゃんの数歳上程度だろうか。

「商工会のメンバー来てたけど、気付いてた?」

「へ?商工会の…?」

「やっぱり!!」

クスクスと、口元を隠して笑う和茂さん。

「あまりに無心で掃いてるから、北本さんが『ほっといてあげよう』って。『こはるちゃん気付いてないんだろうなー』って言ってた」

何かそれは……申し訳ないような、恥ずかしいような……
(ちなみに北本さん=夕湖ちゃんのご両親である)


「それは…ご挨拶できず、申し訳ないです」

「まぁ押し掛けたのはこっちだし、仕事熱心なことはいいことだしね」

「それは……お褒めに預り光栄です………」

「ホントに兄貴に爪の垢煎じて飲ましてやりたいぐらい」

何だか笑っているようで……目が笑っていない。
かなり本気のようである。


「それで……和茂さんは、お父様とご一緒に……?」

「うん。でも僕はほぼ送迎係りってとこかな。荷物持ちってところ」

「それは……お疲れ様です………」

「あとね、こはるちゃんに会いに来たんだ」

「そうなん………へ?」

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