稲荷と神の縁結び
私に会いに?なぜ?
そう聞き返す間もなく、和茂さんは一つの紙袋を差し出す。


「これは……?」

「僕の先輩のお兄さんの店なんだ。こはるちゃん、お菓子好きだよね? 」

紙袋を見て……思わず「え?!」っと驚いた。
中身を取り出し確認すると‐やっぱり、そうだ。


「ここ!!私好きなんです!!!」

中身を見ると……この包装紙は、間違いない。
あの馨様と行ったお店の最中だ。

「ホント?知ってたんだ」

「はい!以前知り合いから教えていただきました」

「そうなんだ。美味しいよね?」

「はい、大好きです」

「いい笑顔で言うねえ…」

クスクス笑う和茂さん。なんだか恥ずかしい。
そんな笑われるものでもない気がするのだが……。


「これで第一段階は成功かな?」と言うと、真顔に戻る和茂さん。

私は何かよからぬことで買収されるんではないか。
そんな危機感が頭を過り、思わず身構える。


「そんな顔をしないで」と再び柔らかい笑顔を浮かべているが……何だか信用はならない。
怪しげな視線を送る私に‐彼から意外な一言が飛んできた。



「僕と結婚する気はない?」

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