稲荷と神の縁結び
「あの、ホントですか?私と結婚って………」

「もう結納は済ませたし、結婚するしかないだろ。残念か?」

「いや、あの……そうではなくて………」

いや残念か以前に…色々と突っ込みどころはあると思うのだけれど……。


清貴さんは私の肩を掴むと‐真っ直ぐに私を見つめた。

「こはるは、嫌か?俺と結婚するのが」


見つめ返せない程に、眩しくまっすぐ見つめる瞳。
私は直視できずにうつむいた。

「それとも俺じゃなくて、あいつと結婚したいのか?」

あいつ……って、そうか。和茂さんのことは勘違いしているのか。
それは違うので、首をブルブルと震わせる。



「……清貴さんは、何で私と結婚しようと思ったんですか?」

「いい加減に気付け」


次の瞬間、ふわっと大きな腕が私を包み込み、大きな…大きな清貴さんの胸に抱き寄せられる。


「俺はこはるのことが好きだ。ずっと一緒に暮らしていきたい。そう思ったからだ」


清貴さんが私を?
嘘だ!と思うが、まさか嘘のためにこんなドッキリを仕掛ける筈はない。
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