稲荷と神の縁結び
清貴さんもニヤッと悪巧み顔。

「食事前に、度数強い酒も出すか」

「いいですねー。早めに酔わせて帰しましょうか」


二人で悪巧み顔してクスクスと笑い合って、私は玄関の扉を開けた。滋子様には悪いけど、今日は短時間で帰ってもらおうか。
何かあったかな?度数の強いお酒……。

あ、そういえば!


「お酒、ありました!持ってきますね」

忘れていたけど、いいお酒があった。
私は小走りで庭の隅っこまで。そう、お稲荷様だ。
正月に供えた日本酒は、まだ飲まないので下げていなかった。

私は数本供えている中から、一番高級な酒瓶を手にする。きっとこれは滋子様も気に入るだろう。
お稲荷様に手を合わせて『お下がり頂きます』とご挨拶をして、その場を後にする。


(あれ……?)

足元に変な感覚がした。
何かが駆け抜けて行ったような、ふわっとした風の感覚が。

しかし辺りを見回しても、特に変わったものはない。
野良猫かとも思ったが、それらしい物体も見当たらない。


(ま、いいか)

私はお酒をさっきより強く抱えると、ゆっくりと玄関まで歩いて行った。


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