稲荷と神の縁結び
やがて家に到着し、ガレージに車が停まった。
私達は車を下りる。


「夕食どうしますか?」と聞くと「どっか外食しようか」と。

「なに食いたい?」

「うーん、どうしようかなぁ……」

「すき焼きか、フレンチか、後は……」

それは素敵な。せっかくだし特大のステーキか寿司にでもしてもらおうかな。
私はウキウキ気分で浮かれなから、準備をするために玄関へ。

私が鍵を開けている隣で、清貴さんはスマホを取り出した。
しかし画面を見た瞬間的‐見たこともない程、眉間に皺が寄る。


「……外食、中止」

眉間だけじゃなく、額全体的に皺を寄せている。
これは確実に、何かに怒っている。


「はい?!何で…」

「母親が『今から霜降りステーキ肉持って向かいます』とな」

「………滋子様、が?」

「ああ。邪魔しやがって」


まぁ、私が昨日寝ていたし…滋子様も話したいことは山ほどあるんだろう。
私も色々『姑』として聞かなければいけないことだってある。


しかし……何だか二人きりの外食を邪魔されたのは、少し癪にさわる。
せっかく二人で過ごせる貴重な時間なのだから。


「せっかくなら…チーズケーキもワンホール持ってきて貰いましょうかねぇ?」

チーズケーキのワンホール、まぁ一時間もあれば焼いて貰えた筈だ。
その間だけでも、二人で過ごせるだろう。
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