偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~

「恥ずかしいことを一緒にすればするほど、僕らの仲も深まるというものだ」

「そういうものでしょうか……?」

「ええ、そういうものです」

 妙にうれしそうにしている尊さん。そんな彼を見て断れなかった。

 しかしバスルームの扉の向こうで待っていたのは、想像以上に恥ずかしいことで……。

 けれど彼のいう『仲が深まる』という言葉はまんざら嘘でもなかった。

 すこしずつ、でもしっかりと深まるふたりの関係がすごく心地良かった、そんな夜だった。

【ごめん、今日も帰れそうにない。体冷やさないようにして早く寝て】

 そんなメッセージが届くのも五日目。

 もう尊さんの顔をずいぶん見ていないような気がする。普通の恋人同士ならそう長い期間でもないけれど、一緒に暮らしているせいでさみしさが余計に募る気がした。

 翔太と付き合っていたときには感じたことのない感情。それだけ尊さんへの気持ちが深いのだと、こんなことで気づかされる。

 最後に会ったのが、彼のマンションの部屋だ。

 あの日もすごく疲れた顔をしていた。ちゃんと食事を取っているだろうか。
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