偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
「うれしいわ。さぁお座りになって」
ソファに座るように言われて、川久保さんをチラッと見ると笑顔でうなずいた。
それに後押しされわたしは言われた通りに、席に着こうとソファの場所まで移動した。
そしてそのときになって、やっと手に持っていた紙袋の中身を思い出しハッとする。
どうしてこんなもの買っちゃったんだろう。こんな立派なおうちの主である方にこんなお見舞いの品を持ってくるなんて、間抜けすぎる。
少し考えればわかることだ。川久保さんの身なりや車、おばあ様にお手伝いさんが付いていたこと……それらを総合すれば、ずいぶんと裕福な方だというのは、簡単に想像ができることなのに。
「どうかなさったの?」
おばあ様の問いかけに、目が泳いでしまう。
あぁどうしよう。せっかく買ったのだから渡すべき? 失礼にならない? いや、手ぶらでお見舞いとかどうなの?
いろんな考えがぐるぐると回る。おばあ様がわたしの焦りに気がついたのか、不思議な表情をこちらに向けてきていた。
えい、ままよ!
わたしは手に持っていた紙袋を、ぐいっと前に差し出した。