冷やし中華が始まる頃には
同窓会は繁華街にある立ち飲みバルを1店舗貸し切って行われた。
駅でえみと待ち合わせをし、2人で店に向かうと懐かしい顔ぶれが揃っていた。

同じクラスだった派手なタイプの女子が2人を見つけて声を掛ける。

「えみとならじゃーん!めっちゃ久しぶりじゃなーい?えー!2人とも変わってなーい!」

その声に数人が反応する。

ならは少し圧倒されながらも空いているテーブルに誘導される。

「おっ。」

するとそこにはまた懐かしい人物が立っていた。

「久しぶり。」
「久しぶり。」
「元気?」
「うん、まあ、笹崎は?」
「俺?元気元気。」

笹崎はすっかり落ち着いていて、それでもみんなの輪の中心にいるようだった。

えみが驚いて小声で話しかける。

「ならって笹崎くんと話すんだね。」
「うん、まあ、バイトで一緒だったから。」

そう答えると、えみは目をまんまるにして驚いた。

30分ほど経過し、みんなの位置が動き始めた頃、えみが少し離れたタイミングで笹崎がならの隣についた。
ならは少し警戒する。

「もう何もしねえって。」
「・・・。」
「門野さんの元カレと親友だし。」
「えっ?」

元カレって・・・

笹崎と、大和が・・・?

ならは笹崎の言葉に動揺する。

「全然連絡とってないの?」
「うん、全然連絡取れなくて。」
「ひどいな、あいつ。」

笹崎が笑いながら、ならに問いかける。

「もしかして門野さん結婚した?」
「してないよ!」
「付き合ってる?」
「誰とも付き合ってないよ!」

笹崎が「あー、よかった」と華奢な椅子に座り込んだ。

なにが「あー、よかった」?

ならが見つめ下ろす。

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