神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~

「お、お母様? どうなさいました?」

うちのお母様、工業大国出身の王族でありながら手作業も大好きでほんわか天然なところのある人なんだけれど……。
家族第一主義な人なので、自分の夫や我が子や兄弟に甥姪が貶められることが許せない人で、家族絡みで怒らせると一番やっかいで怖いのだ。

ちなみに、いまの笑顔は薄ら寒いレベルでお怒りがヒシヒシと伝わってくる。

「ちょっと、国王様と王妃様に話をつけて来ますからね。待っててちょうだい」

ニコって、それ、目が微笑んでません!
もう、お母様は誰にも止められない……。
諦めの境地で私は頷いて送り出した。
国王様、王妃様。申し訳ありませんが、こうなったらもうどうにもなりません……。

にこやかなお母様とそれに若干引きつつお話される国王様と、お母様と同じような笑顔の王妃様という図式になり、私はそっとナユタ皇女を思った。

怒らせちゃならない高貴な人々を怒らせてしまったので、頑張って対処して下さいとしか言えないなということを……。

そうして、少し落ち着いた会場で飲み物を飲んで少し休んでいたところ、話が終わった
お母様が戻ってきた。
ニッコリと微笑んで……。

「話が着きました。ナユタ皇女には帰国まで私と、王妃がみっちり付きっきりで淑女教育することにしました。少々家を空けますが、その間は頼みますよ」

「はい、お母様……」

頑張れ、ナユタ皇女……。思わず遠い目をしてしまうのは仕方なし。
お母様の淑女教育? もちろん私も経験済みだから。
感謝していますが、めちゃくちゃスパルタなのです……。
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