キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 自分の格好を見下ろしたり、両手を持ち上げてぶかぶかの袖を揺らしたりしていると、どこか満足げに頷いて踵を返す宙斗くん。

「それでいいんだよ、ほら行こうぜ」

 なんか、機嫌よくなったっぽい?

 歩き出した彼の背中を追いかけながら、私は「うん?」と首を傾げるのだった。

「困った……」

 宙斗くんと一緒に歩いていたはずの私は、今ひとりで目的のかき氷屋さんの前にいる。この人混みの中でお店を探して歩いていたら、彼とはぐれてしまったのだ。

 悩んでても仕方ない。ふたりぶんのかき氷を買って、シートを敷いた場所に戻ろう。目印の青色のパラソルのことも覚えているし、ちゃんと戻れるはず。

「味はブルーハワイとイチゴでよかったかな?」

「あ、はい! お願いします!」

 これぞ海の男という感じの浅黒い肌に金髪のチャラそうなお兄さんが、にっこり笑って確認してくる。開いたシャツの間からは分厚い胸筋が見え、つい目がいってしまう。

 でも私は、宙斗くんみたいな細くてほどよい筋肉の方が……って!

「私、ただの変態じゃん!」

「はい、かき氷できたよ」

 小声で自分にツッコミを入れながら赤面している私に、お兄さんが台から身を乗り出してかき氷を差し出してくれる。

「はい、ありがとうございます」

    

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