キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「かき氷、ありがとうございました」

「い、いや……」

「じゃあ、いこっか」

 そう言って、宙斗くんに笑いかける。すると彼は「はぁーっ」と深いため息をついて、私の頭の上にかき氷のカップを乗せる。

「冷たいっ」

「心配かけた罰だ」

 そう言って両手にカップを持ち直し、先に歩き出す宙斗くん。

 心配って……え、私を!?

 驚いてその場に立ち尽くしていると、数歩先にいる宙斗くんが立ち止まり、クルリとこちらを振り返る。そのまま踵を返して、ズカズカ私のところへ戻ってきた。

「え、ひ……宙斗くん?」

 目の前に立ちはだかる長身の彼を、恐る恐る見上げる。その顔は喜怒哀楽のどれにも当てはまらない、無表情。

 ――な、なんなの!?

 私は美代みたいなエスパーじゃないので、宙斗くんがなにを考えているのかがわからずに戸惑う。

「またはぐれたら面倒だから、お前、俺のどこかに掴まれ」

「ど、どこかにって……」

 いったい、どこに? 

 手に触ったら宙斗くんは倒れてしまうだろうし、私にはかき氷を守るという役目があるので、むやみやたらに触れない。

「だ、大丈夫! 今度はちゃんとくっついていくから!」

「大丈夫じゃねーって、さっきだってナンパされてたじゃんかよ」

「え、ナンパ?」

    

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