キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 こちらに駆け寄ろうとした宙斗くんをひと睨みして、楓は「行くぞ、飛鳥」と言うと私の肩を抱きながらその場を立ち去ろうとする。彼に促されるまま、宙斗くんをちらりと振り返れば、こちらに手を伸ばしたまま迷いと焦りを滲ませた表情で立ち尽くしていた。

 宙斗くん……。

 今ここで私が戻っても、なにもできない。やらなきゃいけないことは、明日クラスのみんなに宙斗くんのことを受け入れてもらえるよう説得することだ。

 だから、サヨナラ大好きな宙斗くん。

 私、頑張るから、どうか信じる心を捨てないで――。

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