キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
③クール王子の秘密
 放課後、私はバイトと部活が休みだという楓と美代と一緒に、駅前のショッピング通りを歩いていた。

「飛鳥、彼氏と帰らなくてよかったの?」

「う、うん。宙斗くん、なんか用事があるみたいで……」

 美代の鋭い指摘に、私はたじろぎながら答える。

 宙斗くん、放課後になった勢いよく教室を出てちゃったんだよね。それは風のごとく素早くて、忍者の末裔なんじゃないかと思った。

 怪しまれるから一緒に帰ろうって誘うつもりだったのに……っていうのは建前で、本当は私が宙斗くんと一緒にいたかっただけなんだ。

「ふーん、俺なら彼女と四六時中一緒にいたいけどね」

「楓の場合は、一緒にいるだけじゃすまないんでしょう?」

「わかってんじゃん、美代」

 楓と美代がなにやら不気味に笑い合っているのを見た私は、あからさまに顔をしかめた。

 ああ、私の親友はふたりとも節操がない。

「ふたりとも、いつか刺されるよ」

 呆れながら、前を歩くふたりに声をかける。

「俺はみんな平等に愛してるから、大丈夫っしょ」

「憎いほど私が好きなんて、ある意味萌えるかも」

 うん、ふたりが理解できない。いまさらだけど、私の親友ってちょっと危ない人だよね。

    

< 36 / 178 >

この作品をシェア

pagetop