偽のモテ期にご注意を

『何やってるんだ』

眠っている沢城を苦しそうに眺める。

自分の不甲斐なさと誰にも頼ろうとしない沢城の頑なな態度に腹が立つ。

カラカラ・・・

病室の殆ど音のしない扉が開く、小さな音に気付き振り返る。

「!?」

そこには出会った頃の沢城が居た。

「ねぇさんが倒れたって、連絡を貰ったので・・」

「姉さん・・・恵(めぐみ)ちゃんか?」

頭の中で記憶を探ると、昔飲みに行った時、一度だけ妹が居る話を聞いた事を思い出した。

「えぇ・・そうですが」

名前を呼ばれ、訝しそうな顔で松本を見る。

「あ、あぁ俺は沢城と同期で同じ企画の松本だ」

「あぁ、松本さん。ねぇさんから聞いてます」

慌てて、自己紹介をすると、沢城から聞いていたようで、警戒を解いてくれた。

「ここだと何だから、外で話そう」

恵を促して、談話室に連れて行く。
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