偽のモテ期にご注意を

『イケメンは何をやってもカッコいいのね』

軽くため息をついて、持っていた味噌を籠に入れる。

スーパーの中を一周する頃には、かなりの食材が籠に入っていた。




「ここは譲れませんから」

そう言って、頑なに支払いを断って、レジを済ませる。

「一緒に食べるんですから、俺が払っても良かったでしょ」

「いいえ。外食の時、支払わせて貰えないんだから、ダメです」

「本当に面白い人だ」

口元に手を当て、くっくっと声をかみ殺して笑う姿は、とても自然に見えた。

『何時もの作ってる笑い方じゃないわ』

その事に嬉しく思う自分に気付き、思い直す。

『何喜んでるの。私と置鮎さんはセフレなのよ』

言い聞かせながら胸が痛いのは、好きになりかけているからだ。

『気を引き締めないと』

スーパーから家までは歩いて5分程の距離だったが、2人で歩く事が久しぶりで、とても楽しかった。
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