偽のモテ期にご注意を

断る理由がなくなってしまい、少しやけ気味に置鮎を助手として扱ったが、始めてみると案外楽しかった。

「ワインにあう簡単な料理で、鯖トマトって言うのをこの前ネットで見たの」

そう話し初めて、鯖の水煮缶と、トマトの缶詰を取り出し、鍋に入れるよう指示を出しながら、にんにくをスライスして醤油と砂糖と一緒に投入した。

そのまま煮立てて汁が少なくなるまで煮詰めてもらっている間に、親子丼の準備と味噌汁の準備を始める。

「疲れているのに、手伝いなんてイヤじゃない?」

「台所に立つの初めてなので、新鮮ですね」

「今までの彼女さんは立たせてくれなかったの?」

自分なら、手伝いをかって出てくれるなら喜んでさせるのにと思った。

「あぁ、今まで料理をしてくれるような人と付き合わなかったので」

『あぁなる程。付け爪剥がれるからって料理しない子居たなぁ。それに、置鮎さん外食ばっかりしてそうだし、腕を振るう機会が無かったのかも』

うんうんと頷きながら色々想像を膨らませて、一人の世界に入り込んでしまう。
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