偽のモテ期にご注意を

「圭奈・・・!」

リビングのドアを少し乱暴に開けて入って来た置鮎は、部屋中に広がる美味しそうな匂いに驚いた。

昨夜は転寝(うたたね)をしてしまい、気付けば沢城が居ない事に気付き慌てた。

寝室で見つけた時、引き止めるために強引に体を繋げたのに、目が覚めると隣に居ない事に焦り、慌ててリビングに来たのだが、そこには、美味そうな煮物の匂いと、ソファーの端に沢城の頭が見えた。

音に気付いて目が覚めたかもと思いながら近づくと、ソファーの背もたれに体を預け、全く気付いた様子の無い沢城が眠っている。

大きく息をついて口元を綻ばせる。

『良かった。帰ってなかった』

そう思ったのも束の間、このままでは風邪を引いてしまうかもしれないので、慌ててかける物を取りに寝室に戻る。

毛布をかけても起きる様子が無い沢城に安心して、身支度をする為にリビングを離れた。
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